あさか開成 校長雑感

校長より

おもてなし

昨日11月14日(木)、5・6校時に、総合的な学習の時間で、2020東京オリンピック・パラリンピック教育推進の一環として、1年生を対象に、海外からのお客様をお迎えするためのグローバルマナーの基礎を学び、自己を確立し他者を受容する心、社会に貢献しようとする心等のボランティアマインドを育成することを目的として、筑波大学客員教授の江上いずみ氏を招聘し、「グローバルマナーとおもてなしの心」を演題に、講演会が開催されました。

江上氏は、30年間、日本航空の客室乗務員として勤務し、その間、「おもてなしの心」をポリシーに機内サービスの向上、後進の指導に当たり、数多くのお客様の褒詞によりCS部長表彰、本部長表彰等多数の表彰を受けた方です。また、日本航空退社後は筑波大学客員教授に就任し、現在、年間250件を越す講演会を実施しながら、「おもてなし学」の構築に取り組んでいます。

昨日の講演で特に印象に残っているところは、「おもてなしの心」はユニバーサルなものだということです。つまり、「おもてなしの心」は、外国人を迎えるときのみに大切なものではなく、普段の生活、そして、すべての人間関係において、とても重要なものであることがわかりました。

講演内のお話をひとつしましょう。「笑顔は一円もかからないおしゃれ」と笑顔の大切さをお話しした際、では、視覚障害者に対して、笑顔を伝えるためにはどのようなことをすれば良いかを考えてくださいと言われました。数秒間ですが、とても考え込みました。想像力の貧困な私は、思考が同じところをくるくると空回りしているのを感じました。答えは、簡単でした。明るい声、江上氏いわく「笑声」で話しかけるということでした。言われて、はっとしました。人は、必ず、外界とのチャンネルを持って生活をしています。あらゆる感覚が世界とつながっているということを忘れていました。わかり合えるもので代替すれば良いだけだったのです。私が普段、言葉が話せないから壁ができているのではなく、できないという気持ちが壁を作り出しているのだと、生徒に話していることと同じことでした。多様性のある、つまりダイバシティの社会を構築していくためには、まず、偏見を捨て、他者をきちんと理解すること、そして、信頼することが大切です。「おもてなしの心」とはそういうものなのかもしれません。

少し話が逸れるかもしれませんが、若い頃、先輩から生徒を「みる目」を育てなさいと教わりました。「みる」には、見る、観る、看る、視る、覧るなど、多くの言葉が当てはまります。多くの感覚で生徒を「みて」、多くの「ことば」で伝えることの大切さを教わりました。

講演会終了後、本日の講演を聴いていただいた生徒たちに感謝の気持ちを伝えたいと江上氏は、200名の生徒全員を体育館出口で「ありがとうございました」と声かけをしながら見送りました。それに対して、握手を求めたり、ハグをしたりする生徒もおりました。「おもてなしの心」を少しは実践できるようになったなと感じた瞬間でした。

(おもてないとサービスの違い)

 おもてなし・・・見返りをもとめない対応

 サービズ・・・・主従関係あり

(関根学年主任への質問)

 関根先生は、どのようにして通知表を生徒に手渡しますか?

(講演の最後に、生徒たちへエール)

 本日は、あさか開成航空にご乗車いただき、大変ありがとうございました。・・・

(1年生200名を見送る江上氏)

11月の花、その後

先日13日(水)に紹介した阿部さんとルイスくんの作品の百合の花が咲き始めました。

やはり、百合の花が咲くと、大きく雰囲気が変わります。可憐さだけでなく、豪華さも加わってきたような感じを受けます。毎日、少しずつ変わっていく変化に気付き、楽しむことは、気持ちが豊かにもつながります。

生徒に感謝です。

(阿部さんの作品)

(ルイスくんの作品)

 

平和とは⑥

平和とは一体どのようなものでしょうか。

以前、私は、「平和とは、一人ひとりが自己の可能性を信じて、他者と協力しながら、その可能性を追い求めることができる状態である」と書きました。一言で言えば、「暴力」がない状態と考えています。

少し話は逸れますが、この平和の考え方が、国際科学科である本校の目指す教育像にもつながっていることを確認したいと思います。本校のモットーは、前鈴木校長が残してくれた「I can do it」です。自分を信じ仲間を信じる力を、明日が今以上に素晴らしいと思える力を、仲間の夢を自分の夢のように喜ぶ力を、そして、何度も転びながらも起き上がり、未来を信じ行動する力を、生徒に身に付けさせていきたいと思っています。

話を戻しましょう。では、「暴力」とは一体どのようなものなのでしょうか。「暴力」=戦争という簡単な図式ではありません。

ノルウェーの学者ヨハン・ガルトゥング氏は、「暴力」には、「主体的暴力」と「構造的暴力」とがあると言っています。そして、彼は、戦争のない状態である「消極的平和」だけではなく、貧困、抑圧、差別など構造的暴力のない状態である「積極的平和」をも目指さなければならないと強く訴えています。

「主体的暴力」とは、主語がはっきりとした暴力で、戦争などが示すように「誰かが誰かを倒そうと攻撃している」と表現することができます。しかし、差別や飢餓、貧困など主語のはっきりしない、つまり社会構造そのものに組み込まれてしまっている暴力もあるのです。それを、「構造的暴力」と呼びます。「構造的暴力」は、社会構造に組み込まれてしまっているために、気付かずに人生を終えてしまうこともあります。例えば、「お金がないから、進学することはできない」などは、これに当てはまるでしょう。差別や貧困は、その人の潜在的人格を発揮できない状態にし、その人から夢や希望を奪ってしまうのです。

では、どのように平和をつくっていかなければならないのか。

この半年をかけて、少しずつでもいいので、考えていきましょう。校長室はいつも開いていますので、お話しに来てください。

 Let's think.

山を張る

いよいよ後期中間考査が19日より始まります。本日も、放課後、教室に多くの生徒が残っています。生徒の皆さん、準備は万端でしょうか。

2、3年生については、第二外国語や実習を中心とした一部の科目の試験が14日より実施されるようです。少し長めの考査期間にはなりますが、集中力を切らさないようにしてください。

後期中間考査は22日まで続くことになります。その間、遅くても13時にはすべてのテストが終了しますので、生徒は普段よりも早く帰ることになります。ご家庭におきましてもご指導をよろしくお願いします。

考査を控え、少し勉強の仕方について、お話をしたいと思います。

「山を張る(掛ける)」と言う言葉があります。リスクを負いながらも、大きな賭の勝負に出ることをいう意味です。「山」は「鉱山」のことで、「山を張る」とは金や銀などの貴重な鉱脈のありそうな山を予想して掘り当てようとすることです。そこから、確実性のないところに労力を投下するという意味で使われるようになりました。特に現在は、試験勉強などで出題される問題を予想して、そこだけを覚えるというやり方で使われることが多いようです。

高校時代の私の友人の話をします。彼は、有名国立大学へ入学した秀才でした。高校1年生の頃、試験の前に、彼が私に、今度の数学はどこが出題されそうかを聞いてきたのです。予想しているところを答えると、彼もうなずき、大体同じだと言うのです。その話を聞いて、私は安心したのですが、彼は続けて、私にいくつかのアドバイスをしてくれました。最後まで聞いていると、彼のいわゆる「山の張った」ところは、すべての出題範囲でした。こいつには勝てないと思った瞬間でした。

前にも書きましたが、この時期、生徒から「もっと時間が欲しい」「時間が足りない」という言葉を聞く度に、少しだけうれしくなります。何かに取り組みはじめ、少しでも分かり始めると「これも、あれもしないと駄目だ」と気付き始めるからです。何かをやり始めなければ、時間が必要なのかどうかも分からないのです。そのため、「時間が欲しい」という言葉を聞くと、何かやり始めたなと感じることができるので、少しだけうれしくなります。

「少しだけ」というのは、そのことを考査期間ではなく、普段の生活の中で分かって欲しいという欲張りな願いです。部活などで、あと1点、1ポイントがとれない理由が、そこにあるのかもしれません。

時間は、人間に平等に与えられた数少ないものの一つです。その貴重な時間をどのように使うのかを決定するのは自分自身です。この平等に与えられた時間をどのように使うかを学ぶところが学校だと考えています。時間を考えることは、自己を磨くことにつながると考えています。

頑張れ、あさか開成生。「We are one. You can do it」

11月の花

授業「日本の伝統文化」の生徒、3年生の阿部咲楽さんとパラグアイからの留学生ルイスくんの作品が正面玄関を飾っています。

今回は、二人の作品ともに、クジャクソウ、透百合、千日紅、モンステラを使ったものです。

残念なことに、まだ、百合が咲いていません。百合が咲いたら、ずっと雰囲気が変わるだろうなと思っています。

まず、阿部さんの作品は、枝の先に咲く小さな、可憐な白いクジャクソウの花をまとめ上げ、華やかさを出しています。クジャクソウも、まだ、咲ききっていないようですので、まだまだ華やかになることでしょう。そして、中央にある赤の千日紅がアクセントになっています。また、モンステラも切り込みを入れて、全体を邪魔しないように工夫しています。百合が咲いたら、今以上に華やかになるだろうと勝手に想像してしまいます。そして、ルイスくんの作品ですが、丈が高くなるクジャクソウの特徴を利用し、百合と競わせるようにクジャクソウを上部にも添えました。非常に高さがあり、迫力のある面白い作品となっています。

二人の作品とも個性が出て、とても良い作品に仕上げっていると思います。

ちなみに、クジャクソウの名前の由来は、いくつも枝分かれした枝の先に咲かせる花の様子が孔雀の羽のように見えることからだそうです。キク科の仲間で、原産地は北アメリカです。日が短くなることで花が咲き出す短日植物です。

また、千日紅の赤いものは、花ではなく、つぼみを包む葉が変形した部分「苞」です。千日紅の苞の色は、色あせにくく、千日も鑑賞できることから名前がついたそうです。

11月も生徒に感謝です。

(阿部さんの作品)

(ルイスくんの作品)

募集要項アップロード

昨日、本校の令和2年度前期選抜募集要項・特色選抜志願理由書及び令和2年度外国人生徒等に係る特別枠選抜募集要項を、本校ホームページにアップロードしました。

募集要項のアップロードは、昨日より今週の金曜日15日までとなっています。今週末には、各高校の募集要項が出そろうことになり、各高校の入試概要も概ね判明することになります。

令和2年度に向け、新たな入試制度が始まります。現在の中学校3年生、そして、その保護者の方々は不安でいっぱいでしょう。そのため、各中学校で行われた高校説明会では、多くの時間を高校入試改革の説明に充てたつもりです。今後も、中学校側と連携をとりながら、わかりやすい入試制度をつくりあげていきたいと思っています。

さて、今年度も、6月より始まった中学校主催の高校説明会が、10月30日の船引中学校を最後にすべて終了しました。今年度は、本校では、前半(6月~7月)が14校、後半(9月~10月)が17校、計31校の中学校の高校説明会に参加してきました。昨年は27校でしたので、4校増加したことになります。

本校の概要説明では、本校が国際科学科であり、校内では、「マイノリティとの共存」「NO プラスティック ムーブメント」など、学校全体で共通のテーマを持ちながら、その課題解決に向けて、生徒が取り組んでいる様子をお話ししました。そして、その延長線上に、オーストラリア研修、その他の海外研修があり、決して語学力向上のみを目的に海外に行っているのではなく、海外の人々との交流をすすめる中で異文化理解を図ることが大きな目的であることを説明しました。海外研修以上に参加人数の多い国内での各種研修、セミナーでも目的は同じで、積極的に同世代や異世代の人々との交流をとおして、課題の発見、課題の共有を図っていることが大きな目的です。学校は閉じられものではなく、開かれたものとして考え、社会との交流を通して知を蓄積するという本校の基本的な考え方を説明してきました。

今月の25日(月)には、安積高等学校で、中学校の進路指導関係の先生方に向けて、郡山地区県立高等学校合同説明会が開催されます。例年、県中、県南の中学校を中心に80校以上が参加する大きなイベントです。これで、すべての高校説明会が終了し、入試本番となっていきます。

最後に、本校では、11月より外国人生徒等に係る特別枠選抜に関する教育相談を始めています。特別枠選抜を考えている受験生のみなさん、中学校の担任の先生は、特別枠の入試だけでなく、入学後の授業の受け方についても説明を行っていますので、まずは、中学校をとおしてお電話をしていただいと思っています。特別枠の入学願書の配布も行っております。

頑張れ、中学3年生。

中間考査、近づく

先週の金曜日11月8日は、立冬でした。

立冬を過ぎると季節も冬となり、寒さが一段と身にしみるようになってきます。

本日は、朝からパラパラと冷たい雨が降っています。この時期の雨を「時雨(しぐれ)」と言います。これから、初霜、初氷など季節の便りが届くようになり、冬本番となっていくことでしょう。

さて、11月の声を聞き、後期中間考査が近づいていることを気にしている生徒も多いことでしょう。後期中間考査は、11月19日(火)から22日(金)まで行われます。前期は部活動などで学習のペースがつかめなかった生徒は、後期は挽回するチャンスです。計画的な考査の向けの勉強を始めてください。

これから先、ピンと張り詰めた空気を感じ、体の芯も凍てつくような朝もあることでしょう。体調管理には十分に気をつけ、中間考査を頑張ってください。

頑張れ、あさか開成生。

 

発表会、終了

本日、令和元年度国際理解・国際交流発表会が開催され、無事終了しました。

今年も、講演会、発表会から多くのことを学びました

被爆体験伝承者である辻靖司さんの「ヒロシマからの手紙」では、被爆者が背負う幾十もの苦難を聴き、胸が張り裂ける思いがしました。私たちは戦争がない平和な世界の実現に向け、全力を傾けなければならいことを改めて感じました。また、生徒たちが、不安や困難と闘いながらも自己の可能性を追い求め、自己と他者、世界の関わりを考えた数々の研修の発表を聴き、とても感動しました。

研修のすべてが、順風満帆でなかったこと、その中で涙したこと、心が折れそうになったこと、しかし、自分をきちんと表現すると、周りには必ず優しき理解者が存在していることも分かりました。

あいさつでも、みなさんに申し上げましたが、私たちにできることはたくさんあります。今回の講演会、発表会の内容を友達や家族のみなさんとお話をすることも、そのひとつです。自分自身の考えを含め、いろいろなお話をしてください。

最後に、本日、講演会、発表会を参観に来ていただいて保護者の皆さまに感謝を申し上げたいと思います。

来年の発表会を楽しみに、また1年間、待ちたいと思います。

平和とは⑤

『平和について』の連載が5回目になってきました。こんなに続くとは考えていませんでしたが、みなさんは、私が訴える平和について少しは理解できたでしょうか。

私は、平和とは単に戦いがない状態を指すのではなく、貧困、飢餓、病気、そして差別がなく、人々が安全に安心して暮らせる状態だと思っています。その一つの象徴が「笑顔」です。本校のよさこい部やフラ・タヒチアンダンス同好会等の生徒に、一番大事なものは笑顔だよと言っている理由はそこにあります。自分たちが笑顔でなければ、周りの人に笑顔を届けることはできないと思っています。

話が逸れそうですので戻します。

明日の発表会では被爆体験伝承講話がありますので、戦争にもたらすものについて考えてみましょう。

総力戦という言葉を知っていますか。

世界史を学んだ人なら、第1次、第2次世界大戦で出てくるので覚えている人も多いと思います。総力戦とは、国家の総力を結集した戦争のことで、第1次、第2次世界大戦では、単に交戦国の軍隊が戦うだけでなく,互いにその経済,文化,思想,宣伝などあらゆる部門を戦争目的のために再編し,国民生活を統制して国家のすべての能力を戦争目的に動員して戦う戦術がとられました。すべてが戦争を遂行するために統制されるわけですから、物資の生産も、思想も、戦争のために統制されるようになります。すべての工場が武器を開発、生産し、すべてのメディアが戦争遂行のために使われることになるのです。総力戦になると、戦争の勝敗を左右するのが兵士、武器、物資の補給となります。兵士を補給し、武器や物資を生産するのは非武装地代である普通の都市や村落です。そのため、戦争を有利にするためには、航空機を利用して制空権を掌握し、その補給拠点、生産拠点である普通の都市や村落に空爆を繰り返すのです。その空爆のため、港湾、空港、工場だけでなく、普通の集落も焼け野原となっていきます。広島、長崎では、最新の大量破壊兵器である原爆が投下されました。このように、総力戦となった戦争では、前線で兵士が犠牲となるだけでなく、非武装地帯である都市・村落も破壊、人々が犠牲者となっていくのです。

その総力戦は、核兵器の出現により、全面的な戦争がしづらくなって終了したと言われています。

では、戦争は何をもたらすでしょうか。

単に兵士だけの犠牲だけではありません。兵士ではない一般の市民が、空爆により、そして広島や長崎では原爆により、恐怖を味わうとともに多くの犠牲がでています。そして、焼け野原となった都市では社会機能は失われ、人々は貧困、飢餓に巻き込まれることになります。広島、長崎の人たちは、その後、放射能にも悩まされました。また、負傷した兵士や広島、長崎の人々は偏見にも悩まされたことでしょう。

このように、戦争がもたらすものは一つではありません。戦争がもたらすものは、重層的な苦難です。だから、戦争が終了しても、未来を描くことができない社会だけが残され、復興に多くの時間と労力が必要となってくるのです。これが戦争のもたらすものだと考えます。

しかし、もう一つ忘れてはいけないことがあります。「十五年戦争」の舞台となったのは、中国、朝鮮、東南アジアの国々であったことです。戦争の舞台となった地域はより大きな被害を受けたことを見逃してはいけません。

福島県議会議員一般選挙

福島県議会議員一般選挙が、今週末の日曜日11月10日に投票日となります。3年生で、選挙資格を持っている人は、是非投票に行ってください。

主権者教育とは、どのようなものでしょうか。主権者教育は、単に若者に選挙に行かせるため、また、選挙の仕組みを知るためのものではありません。主権者教育とは、様々な利害が複雑に絡み合う現代の社会の中で、社会が直面する課題について考え、できるだけ多くの合意を形成し、今とこれからの社会をつくるために政治に参画することを目指す教育だと考えています。社会を知り、その社会の課題について考え、それぞれが意見を持ち、議論して決める過程を学ぶことだと考えています。

現在の3年生は、昨年12月に、校内での模擬選挙を経験しています。その中で学んだことを活かすチャンスです。今の社会で何が問題なのか、どのような社会をつくりたいか、より多くの情報を集めて、考え、投票を行ってください。

発表会に向け

明日11月8日(金)、本校の学習面での最大のイベントである国際理解・国際交流発表会が開催されます。

11月1日より昨日まで、放課後、発表者のリハーサルが第1体育館のステージで行われました。生徒たちは、自分で作ってきたパワーポイントや動画の動作確認、ストップウォッチを使っての発表時間の確認などをして、最終調整を行っていました。

今回の発表会は、例年とは違い、最初に講演会を実施してから、生徒の発表となる日程となっています。

今年の講演会は、広島平和記念資料館のピースボランティアを長年している辻靖司氏を迎え、「ヒロシマからの手紙」を演題とした被爆体験伝承講話を開催します。伝承講話をお聴きになりたい保護者の方は、全体開会式が午前9時より始まりますので、9時までは第一体育館にお入りください。講演会は60分の予定です。なお、本校は「NO プラスティック」ムーブメントを実施中ですので、各自下足入れを持参してください。

その後、午前10時50分より、生徒の発表が行われます。発表順は次のようになっています。

 ① 10:50~ オーストラリア研修(20分)

 ② 11:10~ 韓国研修(20分)

 ③ 11:30~ ベラルーシ研修(20分)

 ④ 11:55~ アメリカ研修、ドイツ研修、イタリア留学(25分)

 ⑤ 12:20~ ふくしま環境フォーラム(15分)

   12:35~13:25 昼食

 ⑥ 13:25~ 東京2020オリンピック・パラリンピック(25分)

 ⑦ 13:50~ 1学年(15分)

 ⑧ 14:05~ パラグアイ留学生ルイスくん(10分)

 ⑨ 14:15~ 平和について(10分)

  ※2年生修学旅行、徳島県修、女子キャリアメンタルプルグラムは展示発表

1年間の研修のまとめです。発表者のみなさん、頑張ってください。

 

(パラグアイからの1年間の長期留学生ルイスくんのリハーサル風景)

 

 

留学生ロス

先週の金曜日で短期留学生、異地区間交流留学生8名の留学期間が終了し、それぞれの地に帰りました。

今週1週間ほどは、本校生徒は留学生ロスに陥るのではないでしょうか。

先週金曜日、17時30分過ぎに、ジェゾンとウィルを除く留学生6名が校長室を訪れ、最後のあいさつをしました。ハーナーは校長室を訪れたときからずっと泣きっぱなしでした。留学生は、口々に、とても楽しかった、とても充実していたと1ヶ月、1週間の感想を述べてくれました。その一言を聞いて、そして笑顔を見て、とても安心しました。

私からは、「君たちが多くのものを得たように、本校生徒も多くのものを得ることができた。ありがとう」と感謝の言葉をおくりました。

留学生のみなさん、とてもありがとう。

 

(留学生6名と校長室にて)

平和とは④

以前、貧困について、生徒と話をすることがありました。生徒は、大学入試の問題で行き詰まっているようでした。

まず、「貧困とはどのようなものか」と質問をしてみました。いつも感じることですが、今の生徒はとっても真面目ですが、考え方に遊びがない。だから、「正解」と判断できるまで、自分の腹の内は見せないことが多いと感じます。だから、このような質問をすると、頭の中で完璧な正解を求めて、求めて、そして求めて、会話が止まっています。

そこで、「途上国でみんながお腹をすかせている状態と日本で一人だけ給食を食べられない状態では、どちらがより貧困のダメージを受けるか」と、次の質問をしてみました。

これも、とっても難しい問題ではないかと考えます。また、会話が滞ってしまいました。

そこで、貧困について少し説明しました。

貧困には、『絶対的貧困』と『相対的貧困』があり、『絶対的貧困』は生存するために必要な栄養量が不足している状態であり、『相対的貧困』は生活している社会の生活レベル以下の状態を指しています。生存を直結する『絶対的貧困』に比べれば、『相対的貧困』は大きな問題とはならないというかもしれませんが、『相対的貧困』がその人に与える疎外感や精神的ダメージも無視できない問題であることは確かで、現在、日本においても「子どもの貧困」として大きな問題になっています。このように、『絶対的貧困』と『相対的貧困』を簡単に比べることはできないということを教えました。

次に、その生徒と会ったときに、また同じ質問「貧困とはどのようなものか」と質問をしました。優等生です。今度は、「貧困とはあるレベル以下で生活を強いられている状態を言い、絶対的貧困と相対的貧困があります。私は、どちらの貧困も軽重の差はないと感じています。貧困は、個人レベルの問題で解決する問題とは考えていません。国際社会を含めた社会全体で解決する問題と思っています」と答えました。

私は、「私の貧困のとらえ方は、人々一人一人が、自分がなりたいと思う未来を奪うことが、貧困だと考える。君はどう思うか」と問いかけました。また、会話が止まってしまいました。

その後、何回か、貧困の中の平等など貧困について、議論をしたのを覚えています。

生徒にとっては、タチの悪い人間に質問をしてしまったと後悔をしたことでしょう。

平和ではない状態はたくさんあります。貧困もその一つです。平和とは、自分がなりたいと思う未来を自分自身の努力で達成できる状態を指すと思っています。

今の世界は、みなさんにとって平和でしょうか。

ふくしま教育週間

本日11月1日(金)より7日(木)まで、ふくしま教育週間です。本校では、保護者や地域のご理解・ご協力のもと、地域とともに歩む学校を目指し、従来より平常の授業の参観を積極的に進めてまいりましたが、11月8日(金)には1年間の国際関係の学習のまとめともなります『国際理解・交流発表会』もありますので、この機会に学校に足を運んでいただき、お子様の学校での生活の様子をご覧いただければと思っております。授業を参観される場合には、まず事務室の方で受付を済ませてからお願いします。

 

さて、話は少し変わりますが、本日11月1日(金)で、短期留学生・異地区間交流留学生の計8名の留学生が、本校での全プログラムを終え、それぞれの地へ帰ることになります。

昨日は、1、2年生ともに今週で終了になる留学生との最後の交流のために、学年全体のお別れ会が開催されました。私も様子を見に行きましたが、馴染みすぎていて、留学生の姿を探すことはとても大変でした。毎年感じることなのですが、留学生の学校生活に馴染んでいく適応力の高さ、日本語や日本文化を吸収しようとする情熱、直向きさには驚かされます。

短期留学生の5名は、約1ヶ月間、1年生と同じ授業を受け、遠足などの行事にも参加し、学校での生活をともにしてきました。また、異地区間交流留学生の3名は、今週1週間という短い期間ではありましたが、2年生のクラスに配置され、2年生と学習・生活をともにしてきました。

長短の差こそあれ、生活習慣の違う見知らぬ地で不安と闘いながらも、同世代の仲間と交流を深め得たものは何事にも変えられないものでしょう。本校生徒にとっても、代え難い経験ができたと思っております。

最後になりますが、8名の留学生は地域や生徒のご家庭にホームステイしております。ホストファミリーになられたご家庭のみなさま、大変お世話になりました。今後も、本校の国際交流事業に対するご理解・ご協力をお願いいたします。

(昨日の2年生のお別れ会の様子)

(昨日の1年生のお別れ会の様子)

 

栗原巳侑、作品展

卒業生の栗原巳侑(みう)くんが、昨年の「第13回西会津国際芸術村公募展2018」青少年の部で大賞を受賞しました。栗原くんは、昨年の全国高等学校総合文化祭で、福島県美術部代表として作品を出品した生徒でもありました。

西会津国際芸術村は、廃校となった山あいの木造校舎の特性を生かし、芸術を通した文化交流活動を行っており、芸術家を目指す青少年や美術愛好家から絵画を公募し、作品発表の場を提供しています。青少年の部大賞受賞者には、翌年の東京巡回展での個展開催権を授与されます。つまり、今年、東京巡回展での個展が開催されるのです。

先日、栗原くんが直接来校して、個展「栗原巳侑作品展」の開催を知らせてくれました。個展の開催は次のようになります。

 時期:2019円11月2日(土)~11月9日(土)

 時間:13:00~18:00(火曜日休館 最終日17:00まで)

 場所:「spaceS」(東急大井町線 九品仏駅または尾山台駅下車)

    158-0082 世田谷区等々力5-14-18

    電話 03-3701-1471

 オープニングコンサート:11月2日(土)14:00~

お近くに行く用事がありましたら、是非とも栗原くんの作品をご覧ください。

平和③

朝、衝撃的な映像が目に飛び込んできました。世界遺産である首里城の正殿付近から出火しているという報道でした。正殿、北殿、南殿、書院など6棟の建物が全焼したようです。

首里城は、第二次世界大戦の沖縄戦で焼失し、その後、1989年に正殿の復元作業が始まり、今年1月に一連の復元作業が一区切りをしたところでした。朱の瓦が美しい中国の王宮風の建築に、日本の城郭にみられる唐破風屋根を付けた首里城は、両国の文化を取り入れた琉球文化の象徴でした。戦後の沖縄の復興と首里城の復元を重ね合わせる沖縄の人は多く、経済的な損失だけでなく、沖縄の心の支えを失ったと嘆く人もいるほどです。

沖縄の方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

 また、もう一つ、私にとって衝撃的なニュースが先日29日にありました。

それは、緒方貞子さんが今月の22日に他界したというニュースでした。緒方さんは、76年に日本初の女性国連公使となり、国連人権委員会日本政府代表などを歴任しました。91年には、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップに就任し、特にイラクでクルド人支援に取り組み、家を追われてトルコとの国境周辺にとどまる大勢の人々の支援に尽力しました。これは、UNHCRの支援対象が、それまでの国を逃れた難民から、国家によって生命と安全を保障されない国内避難民への転機となったものでもありました。

今回、「平和とは何か」について、私の考えを書かせていただいています。

緒方さんは、私たちにある視点を与えてくれました。

緒方さんは、国家中心の安全保障に代わる概念として、紛争や貧困など、あらゆる脅威から人々の生存や尊厳を守る「人間の安全保障」の重要性を提起した人もあります。冷戦の時代、国家間のイデオロギー的な対立がある中、国家内の対立・反目は後回しにされてきました。しかし、冷戦後、領土的一体性や国家主権に対する脅威がなくても、人々は民族的、宗教的、社会的集団間の歴史的な対立や反目に起因する国内的暴力に苦しみ、そして安全保障が脅かされているのです。このように、今日、対立する個人・集団またはコミュニティ間の平和的関係を維持・発展させることが求められているのです。

緒方さんのご冥福をお祈りします。

エゴマナーダ

27日(日)、郡山女子大学において、「2019年度 葛尾村特産『えごま料理コンテスト』」が行われました。その『えごま料理コンテスト』で、本校3年生の鈴木慧さんが最優秀賞に輝きました。

郡山女子大学では、一昨年より葛尾村で「えごま」の栽培に取り組んでおり、栄養価の高い優れた食品である「えごま」をたくさんの人に知っていただくために、このコンテストを開催しているそうです。

鈴木さんが考案した料理は、「おら!エゴマナーダ(福島風エンパナーダ)」です。本校には、現在、パラグアイからの留学生ルイスくんが来ています。ルイスくんと一緒に、パラグアイの家庭料理エンパナーダをヒントに考えたものが、今回の作品だそうです。鈴木さんは、ルイスくんと本校生徒が仲良く学校生活を送っているように、パラグアイと福島がコラボした料理ができないかを考え、たどり着いたということでした。

基本は、具材にえごまの葉を加え、彩り・風味・栄養価をパワーアップし、エゴマ豚の肉も使用して味を倍増させ、エンパナーダ風に仕上げます。そして、お好みで、じゅうねん味噌(えごま味噌)をつけて食べれば、10年長生きできる健康食品だそうです。

明日31日(木)の福島民友新聞に記事が掲載予定となっています。ご覧ください。

平和とは②

27日、過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が、米軍の急襲で死亡したとトランプ米大統領が発表しました。トランプ米大統領は「世界はずっと安全な場所になった」とも言い切っていました。

以前、生徒たちと、国際社会研究の授業の中で、「平和とは何か」、「戦争とは何か」について議論したことがあります。その主題も「イスラム国」だったと記憶しています。

少し意地悪だったのかもしれませんが、生徒たちに「戦争とは何か、平和とは何か、自分が考えていることを相手に伝える作業から始めよう」と言ったのを覚えています。少し意地悪と言ったのは、高校生時代までは、まだ自分が使用する言葉について、しっかりと定義しながら話をしたり、書いたりすることはほとんどないと思っているからです。誰でも知っている言葉が、うまく定義できないことは多々あります。だから、最初、生徒たちは、「戦争とは戦うこと」というくらいで、「平和とは戦争のない状態」と考えているようでした。

平和が「戦争のない状態」とすると、平和とは「戦争がない」だけで、冷戦状態のような常に戦争につながる要素があり、緊張を抱えている状態でも平和ということになってしまします。それが本当の平和といえるのでしょうか。また、「戦争がない」だけで平和と定義するならば、貧困、飢餓、伝染病などが蔓延している社会も平和な状態となっていまいます。それは、絶対に平和ではありません。また、戦争もそうです。「戦う」ことが戦争ならば、普通の巣スポーツも戦争になってしまいます。誰が、どのような状態で、戦っているのかを明白にしていく作業が必要なのです。

結局考え込んでしまう場面が多くなり,議論が進展しづらくなってしまいました。しかし、積極的に会話をすることが、アクティブ・ラーニングだとは思っていません。今までの「常識」を破るには、時間が必要なのです。

そのような長い議論の中から、「イスラム国」の持っている特殊性に気付き、テロとの戦いというものが新しいタイプの戦争であることがしだいに分かってきたのです。

週末の生徒の活躍

10月26日(土)、イオン郡山フェスタ店で、東京2020オリンピック・パラリンピックを盛り上げるために「オリンピック・パラリンピック体験!ふくしまフェスティバルin郡山」が開催されました。

店内では、体験ブースや県内のホストタウン市町村の交流国紹介ブースがあり、そのほかにも、オリ・パラグッズがもらえるスタンプラリー、合唱、和太鼓演奏、チアリーディングなどの特設ステージでのイベントもありました。私の出身町村である猪苗代町がガーナのホストタウンになっていることを知り、なるほどと納得しました。野口英世と言えば、やはりガーナです。

その日のフェスティバルの最後に、本校よさこい部「開成舞彩」による「東京五輪音頭」の踊りがありました。校内では、昨年より、外国人留学生をもてなすために、何度か一緒に踊っているのを見かけたことがありました。今回、地域の人たちにも「東京五輪音頭」を知っていただくことができ、オリンピック・パラリンピックを盛り上げるために少しは貢献できたかなと思っています。

また、同日に郡山駅前で行われたガス展では、本校フラ・タヒチアンダンス同好会「ALOHA」が踊りを披露しました。

災害が続き、地域に大きな影を落としています。地域の皆さまが笑顔になるために、自分たちの笑顔を届けています。

(おまけ)

平和とは

今年度の総合的な学習(探究)の時間の学校共通テーマは、『共存 ~作ってきたもの、作っていくもの~』です。私は、勝手に「共存 ~レガシーづくり~」と言っています。

今年度前半は、プラスティック問題から共存を考えてきました。

6月の国際理解講演会では、アクアマリンふくしまの岩田副館長より、現在、海洋生物が人間が身勝手に捨てたプラスティックゴミにより苦しめられている現状についてのお話をお聞きしました。人間の生活を便利にするために作られたモノが、いま、いろいろな動物を苦しめているばかりか、人間の健康そのものへ直接的な影響を与え始めています。「プラスティックが便利なのは丈夫だからだ。プラスティックが恐ろしいのは丈夫だからだ」という言葉が、今でも忘れることができません。合理的、効率的な生き方を求められる今、その考え方をもう一度問い直すことが必要な時代が来ているではないかと感じました。

10月、今年度の後半に入り、課題の対象が「平和」となりました。

11月8日(金)の国際理解講演会では、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館主催被爆体験伝承者等派遣事業による「ヒロシマからの手紙 被爆体験伝承講話」が行われます。

それにともない、本日10月28日(月)より、広島平和資料記念館より借りた「市民が描いた原爆の絵」の展示が始まりました。昼休みの12時45分から13時10分までの25分間のみの展示です。貴重な資料ですので、是非、講演会前に1度、そして、講演会後にもう一度、観ていただきたいと思っています。

本日、早速展示室に訪れた3年生の佐久間愛海さんと松本彩さんは、「想像できないくらいのものだった」「今の日常とあまりにもかけ離れている」と率直な感想を語ってくれました。

「平和」とは何か。「平和」を作るにはどうすればいいのか。

今年度の後半は、この難しい問いに挑戦しましょう。