あさか開成 校長雑感

女子スラックス導入

昨年の6月、総合的な学習の時間で、全校生対象の講演会が開催されました。

演題は、「LGBTってなんだろう-お互いの違いを受け入れあえる社会を目指して」でした。東京にあるNPO法人ReBitより2人の講師の方に来ていただき、実体験を踏まえながらのお話をいただきました。講演後、生徒からたくさんの質問があり、非常に盛り上がったことを、今でも覚えています。

この講演会のホームページへの紹介の中で、こんなことを書きました。

「性に関する問題はちょっとと考える方も沢山おられるかもしれませんが、「ちがい」の部分に重きをおいて考えてください。私の大学時代の友人に、非常に手汗をかきやすい女性がいました。彼女は、緊張すると、より手汗をかきやすくなり、人と接することを避けるようになったようです。他人からすると、小さな悩みのように感じますが、本人は非常に悩んでいました。特に子どもたちは、どんな小さな悩みも、その時は自分が否定されるではないかと思うくらい、大きな問題として考えている時があります。

今回の講演会は、一人ひとりが「ちがい」を持っているということが分かるだけで救われることがあることを教えてくれた講演だったと思っています。」

昨年の国際関係の学校共通探究活動のテーマは、「マイノリティとの共存」でした。その一環として行われたのが、この講演会であり、この講演会からマイノリティ(少数者)に対する活動が始まりました。

生徒たちは、「ちがい」を意識し、いろいろな活動をしました。LGBT関係だと、図書委員会のレインボー柄のオリジナル栞の作製と一日体験入学へ来た中学生への配布、家庭科履修者による男女共生川柳への作成と応募、そして生徒会役員による女子スラックスの提案などがありました。マイノリティ全体では、難民支援募金、障害者スポーツであるシッティングバレーへの挑戦、郡山支援学校との交流などがありました。

私たちは、小さな力しか持ち合わせていないので、まだまだ大きく社会を変革することができません。しかし、意識を変えることはできると思っています。新たな価値観を持った生徒たちが、10年度、20年後、どのような社会をつくっていこうとするのかが楽しみです。

最後に、その若者たちが、大人、社会、そして未来を信頼することは大切なことです。生徒会役員が提唱した女子スラックスですが、大変遅くなりましたが、完成しました。次年度より、正式な制服として、女子スラックスが導入されること(希望者)が決定しました。あなたたちが、撒いた種はしっかりと実ったのです。あなたたちの意見のすべてを実現させることは、今後も、大変困難なことなのかもしれません。しかし、粘り強く、コミュニケーションを継続すれば、その意見に耳を傾ける人が必ずでてくることを信じて欲しいと思っています。