あさか開成 校長雑感

記憶

本日で3年生の学年末考査が終了します。また、昨日より、1、2年生は考査1週間前となり、職員室の入室や部活動が制限されています。

「季節感」、「区切り」というものは、非常に大切なものだと思っています。春に蒔かなくてはいけない種を、秋に蒔いても実る可能性が低くなってしまいます。やはり、やるべき、まとめるべき時期にしっかりとまとめをすることは大切なことなのです。

ここで、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線を紹介しましょう。忘却曲線とは、時間とともに記憶が変化することで、簡単に言えば、忘れていく割合を表したものです。その実験では、覚えた情報が20分後に42%、1時間後に56%、1日後に74%、1週間後に77%、1カ月後に79%、忘れ去られてしまうことでした。1時間で、半分以上忘れてしまうのです。ここから導き出されるものは、忘れる前に、定期的に反復して復習することが効果的ではないかということです。暗記科目は前日にやればいいと思っていませんか。暗記科目も定期的に復習すれば、より定着率が高くなるということなのです。

また、私が注目したのは、1ヶ月経っても20%の情報を覚えているという事実です。どうせ、忘れるからやらなくていいと考える人いませんか。放棄すれば、定着率は0%です。苦手であっても、この時期に、一生懸命覚えようと努力すれば、定着率は決して高くはないですが、情報は脳の中に定着しているのです。この違いは、後で大きな差になってくると考えます。

男子校だったせいか、私が高校の頃は、力業で、ものごとを覚える方法が流行っていたと記憶しています。具体的には、ひたすら書いて覚えていたということです。脳だけが記憶するのではなく、筋肉にも記憶装置があると豪語していました。また、脳は冷やすと記憶力が伸びると信じ、放課後、仲間たちと、寒い教室で勉強をしていたのを思えています。バカな文系たちがよく考えることです。でも、そんなバカな仲間たちと、3年間過ごした高校生活はとても楽しいものでした。