あさか開成 校長雑感

校長より

ラグビーワールドカップで考える

スポーツ観戦をすることが、私のささやかな趣味のひとつです。

野球、サッカー、ラグビーなどは良く観に行きました。と言っても、震災後は、ほとんど観に行くことができなくなったので、ここ8年はご無沙汰しております。中でも、サッカーは大好きです。かなり前ですが、鹿島とマンUの試合には感動しました。ラグビーは、サントリー、ヤマハ等のファンです。ごりごりとフォワードが押し込んでくるスタイルが好きです。今回のワールドカップを観て、月並みですが、試合の質の高さに感動しています。今まで観ていた試合は何だったのだろうと思うくらい、素晴らしい試合が続いています。

さて、日本と対戦したアイルランドのラグビーチームについて、どれほど私たちは知っているでしょうか。

アイルランドと言えば、本校の前ALTのジェイソンの母国です。もっと、ラグビーチームについて、聞いておけば良かったと思っています。

まず、アイルランドという島が、アイルランド共和国と北アイルランド(イギリス領)に分離していることを知っているでしょうか。同じ民族が南北に分かれているのです。そして、200年近くも対立した歴史を繰り返してきたのです。現在、イギリスのEU離脱が「合意なき離脱」になることにより、対立が激化するのではないかと言われていることを知っている人も多いかと思います。

この南北に対立するアイルランドで、ラグビーだけは、南北の国に関係なく、統一チームができているのです。これはサッカーチームにもないことなのです。

日本戦の前に流れた歌は、アイルランド共和国の国歌でも北アイルランド(イギリス領)の歌でもありませんでした。特別に作られた「アイルランズ・コール」という歌です。歌詞にはアイルランド分断の歴史は一切出てきません。

スポーツが、国同士の対立を乗り越える。なんと素晴らしい話ではないですか。

韓国研修、解散

ラグビーワールドカップ、アイルランド戦での日本の劇的な勝利。4年前の南アフリカへの勝利は夢ではなかったことを証明してくれました。やったぞ、日本。

勝利に歓喜しながら、学校に向かいました。 そうです。本日は、韓国研修の帰国日となっています。

ホームステイ、そして、数々のミッション、この韓国研修は積極性が試されたものとなりました。4名の生徒の満足感は、本日の写真からも想像できます。この研修が、4名の生徒にとって、十分満足のいくものだったのでしょう。ご苦労様でした。

夜の7時45分、猪俣先生、生徒の家族とともに生徒を出迎えました。そして、簡単な解散式を行いました。解散式では、ホストマザーにとても親切にしてもらい、お別れの時涙が止まりませんでしたなど、簡単な感想を聞きました。

しかし、本日で研修が終わったわけではありません。今後は事後研修です。

しっかりとまとめを行ってくださいと言いたいところですが、本日は、家族と夕食を囲みながら、ゆっくりとしてください。そして、しっかり休んで、疲れをとってください。

オーストラリア研修のその後

昨日は大変うれしいことがありました。

放課後、校内を巡回していると、外からゴミ袋を持った1年生の生徒数名が学校に戻ってくるところでした。

「どうした」と声を開けると、「調査研究の一環です」と返事が返ってきました。詳しく話を聞いてみると、オーストラリア研修で環境問題、特にプラスティックゴミについて研究をしていて、実際に街中にどのくらいゴミが落ちているかを確認しようとゴミ拾いをしてきたということでした。学校の周りを1周回っただけで、こんなにゴミを拾うことができましたと嘆いていました。今後は、アンケートをとり、同級生が、いま、どのような意識を持っているのかを調査するそうです。

オーストラリアに行ったのが7月。2ヶ月以上たった今でも、研修が続いていたのです。

常々、知を自己の所有物にするのではなく、社会へ還元しようとする精神を育みたいと思ってきました。自己の研究を机上のみで終結させてはいけません。より伸ばし、深め、拡大させ、発展させ、実際の社会へ落とし込む作業が必要なのです。この調査研究活動が、単なる数字的な調査研究に終わらず、今後、周りの生徒たちに波及する提言、行動になることを期待します。そして、その影響された生徒たちが、どのような行動をとるのかも楽しみになってきました。

今年は、韓国訪問に16名、ベラルーシ研修に10名の生徒が行きました。こちらの研修者からも、社会に還元するようなアクションが出てくることを願っています。

国連では、16歳の少女グレタ・トゥーンベリさんの地球温暖化に対する訴えがあり、世界中の若者がムーブメントを起こしています。

子どもたちには、まだ、未来への選択権が与えられていません。その子どもたちが、大人に、未来に対して、絶望していることに、大きな危機感を抱いています。

環境問題、この問題の根源は何なのでしょうか。

私は、知は希望だと考えます。しかし、現在、知の力が失われつつあります。一方に飛躍的に進む物理的な力、他方に人間に対する無力、この2つの対立によって、本来希望をもたらすべき知が死にかかっているのです。現代の社会は、科学技術によって規定されており、現実的な危機は知と深く関わっています。今、知の行為、そのものに反省が求められています。知を克服するためには知は必要なのですが、現在、知には、それ以上の理想像、絶対像が求められています。それは、知っているというレベルの知でなく、相互理解や相互コミュニケーションのための知ではないかと思っています。知ることが理解や了解につながり、理解や了解が、ともに生きることにつながると考えます。それは、完璧な意味での「よく」生きるではないかもしれないけど、ともに生きることができる「よりよく」生きることになるではないかと考えます。

秋本番

『暑さ寒さも彼岸まで』の言葉どおり、朝晩はすっかり寒くなり、秋本番となってきました。

韓国研修も本日が4日目。今回の研修の最大の行事であるB&Sです。現地の大学生とともに、どのような場所を探索するのかが楽しみです。秋のソウル路を楽しんでください。

これからは日増しに寒さが増していきます。個人的な意見ですが、東北に住んでいると、秋という季節が非常に短いように感じてなりません。秋という季節感、ちょうど良い気温を楽しむという時期が非常に短いように感じています。寒いのは苦手です。

さて、9月も終わり、来週からは10月に入ります。

10月1日は創立記念日で休みとなりますが、2日は、後期始業式、そして衣替えとなります。基本的には、冬服、女子はリボン着用となります。はじめが肝心ですので、しっかりとした服装で登校をお願いします。そして、以前にも書きましたが、今後は日の入りが早くなってきます。早め早めの自転車での点灯をお願いします。

最後になりますが、3年生は進学の推薦関係の受験本番となってきます。現在のところ、就職関係、そして秋田大学を含めたAO入試等、嬉しい報告がたくさんありました。努力を重ね、栄冠を勝ち取ってください。

がんばれ、3年生。You can do it.

つなぐ、つながる

韓国研修も3日目、無事研修が進んでいるようです。ホームステイも問題ないようで、夜、市内を案内していただいた生徒もいるようです。いよいよ、明日はB&Sです。現地大学生との交流を楽しんでください。

さて、桃見台公民館より、御礼の手紙をいただいた。

毎年ですが、桃見台公民館には、生徒たちが大変お世話になっています。今年も、30名を超える生徒たちが、ボランティアスタッフとして、夏休みを中心とした桃見台公民館主催の青少年講座のお手伝いに行きました。

本校は、座学による日々の学習の積み重ねとともに、いやそれ以上に、体験による気付きを重視している学校でもあります。つまり、教科書に書いてある定型的な問いではなく、実生活の中で生じる「摩擦」、感じる「差異」に敏感に反応し、そのことに課題意識を持ち、現在の自分に何ができるかを考え、行動することを重視しています。このことは、自己と社会の結びつき、つながりや役割を考え、新たな自己を発見する作業でもあります。そのため、本校では国内外の研修とともに、ボランティア活動も非常に重視しています。昨年度のボランティア参加者数は、延べ人数で600名を超えています。

御礼の文書内にも、「最初は不安そうな生徒さんたちもいましたが、活動が始まると自分から積極的に子どもたちに声を掛け、一緒に活動し、最後はすっかり仲良しになっていました。」とあるように、誰もが最初から積極的に行動できるわけではありません。一声を掛けるという作業がどれだけ大きな作業かは、大人でもわかると思います。それを支えてくださる職員の方々の温かなまなざしにより、第一歩が踏み出せているではないかといつも感じています。

桃見台公民館には、毎年、生徒たちを社会と「つなぐ」役割をしていただき、大変感謝をしております。

大変ありがとうございます。