あさか開成 校長雑感

校長より

発表会に向け

明日11月8日(金)、本校の学習面での最大のイベントである国際理解・国際交流発表会が開催されます。

11月1日より昨日まで、放課後、発表者のリハーサルが第1体育館のステージで行われました。生徒たちは、自分で作ってきたパワーポイントや動画の動作確認、ストップウォッチを使っての発表時間の確認などをして、最終調整を行っていました。

今回の発表会は、例年とは違い、最初に講演会を実施してから、生徒の発表となる日程となっています。

今年の講演会は、広島平和記念資料館のピースボランティアを長年している辻靖司氏を迎え、「ヒロシマからの手紙」を演題とした被爆体験伝承講話を開催します。伝承講話をお聴きになりたい保護者の方は、全体開会式が午前9時より始まりますので、9時までは第一体育館にお入りください。講演会は60分の予定です。なお、本校は「NO プラスティック」ムーブメントを実施中ですので、各自下足入れを持参してください。

その後、午前10時50分より、生徒の発表が行われます。発表順は次のようになっています。

 ① 10:50~ オーストラリア研修(20分)

 ② 11:10~ 韓国研修(20分)

 ③ 11:30~ ベラルーシ研修(20分)

 ④ 11:55~ アメリカ研修、ドイツ研修、イタリア留学(25分)

 ⑤ 12:20~ ふくしま環境フォーラム(15分)

   12:35~13:25 昼食

 ⑥ 13:25~ 東京2020オリンピック・パラリンピック(25分)

 ⑦ 13:50~ 1学年(15分)

 ⑧ 14:05~ パラグアイ留学生ルイスくん(10分)

 ⑨ 14:15~ 平和について(10分)

  ※2年生修学旅行、徳島県修、女子キャリアメンタルプルグラムは展示発表

1年間の研修のまとめです。発表者のみなさん、頑張ってください。

 

(パラグアイからの1年間の長期留学生ルイスくんのリハーサル風景)

 

 

留学生ロス

先週の金曜日で短期留学生、異地区間交流留学生8名の留学期間が終了し、それぞれの地に帰りました。

今週1週間ほどは、本校生徒は留学生ロスに陥るのではないでしょうか。

先週金曜日、17時30分過ぎに、ジェゾンとウィルを除く留学生6名が校長室を訪れ、最後のあいさつをしました。ハーナーは校長室を訪れたときからずっと泣きっぱなしでした。留学生は、口々に、とても楽しかった、とても充実していたと1ヶ月、1週間の感想を述べてくれました。その一言を聞いて、そして笑顔を見て、とても安心しました。

私からは、「君たちが多くのものを得たように、本校生徒も多くのものを得ることができた。ありがとう」と感謝の言葉をおくりました。

留学生のみなさん、とてもありがとう。

 

(留学生6名と校長室にて)

平和とは④

以前、貧困について、生徒と話をすることがありました。生徒は、大学入試の問題で行き詰まっているようでした。

まず、「貧困とはどのようなものか」と質問をしてみました。いつも感じることですが、今の生徒はとっても真面目ですが、考え方に遊びがない。だから、「正解」と判断できるまで、自分の腹の内は見せないことが多いと感じます。だから、このような質問をすると、頭の中で完璧な正解を求めて、求めて、そして求めて、会話が止まっています。

そこで、「途上国でみんながお腹をすかせている状態と日本で一人だけ給食を食べられない状態では、どちらがより貧困のダメージを受けるか」と、次の質問をしてみました。

これも、とっても難しい問題ではないかと考えます。また、会話が滞ってしまいました。

そこで、貧困について少し説明しました。

貧困には、『絶対的貧困』と『相対的貧困』があり、『絶対的貧困』は生存するために必要な栄養量が不足している状態であり、『相対的貧困』は生活している社会の生活レベル以下の状態を指しています。生存を直結する『絶対的貧困』に比べれば、『相対的貧困』は大きな問題とはならないというかもしれませんが、『相対的貧困』がその人に与える疎外感や精神的ダメージも無視できない問題であることは確かで、現在、日本においても「子どもの貧困」として大きな問題になっています。このように、『絶対的貧困』と『相対的貧困』を簡単に比べることはできないということを教えました。

次に、その生徒と会ったときに、また同じ質問「貧困とはどのようなものか」と質問をしました。優等生です。今度は、「貧困とはあるレベル以下で生活を強いられている状態を言い、絶対的貧困と相対的貧困があります。私は、どちらの貧困も軽重の差はないと感じています。貧困は、個人レベルの問題で解決する問題とは考えていません。国際社会を含めた社会全体で解決する問題と思っています」と答えました。

私は、「私の貧困のとらえ方は、人々一人一人が、自分がなりたいと思う未来を奪うことが、貧困だと考える。君はどう思うか」と問いかけました。また、会話が止まってしまいました。

その後、何回か、貧困の中の平等など貧困について、議論をしたのを覚えています。

生徒にとっては、タチの悪い人間に質問をしてしまったと後悔をしたことでしょう。

平和ではない状態はたくさんあります。貧困もその一つです。平和とは、自分がなりたいと思う未来を自分自身の努力で達成できる状態を指すと思っています。

今の世界は、みなさんにとって平和でしょうか。

ふくしま教育週間

本日11月1日(金)より7日(木)まで、ふくしま教育週間です。本校では、保護者や地域のご理解・ご協力のもと、地域とともに歩む学校を目指し、従来より平常の授業の参観を積極的に進めてまいりましたが、11月8日(金)には1年間の国際関係の学習のまとめともなります『国際理解・交流発表会』もありますので、この機会に学校に足を運んでいただき、お子様の学校での生活の様子をご覧いただければと思っております。授業を参観される場合には、まず事務室の方で受付を済ませてからお願いします。

 

さて、話は少し変わりますが、本日11月1日(金)で、短期留学生・異地区間交流留学生の計8名の留学生が、本校での全プログラムを終え、それぞれの地へ帰ることになります。

昨日は、1、2年生ともに今週で終了になる留学生との最後の交流のために、学年全体のお別れ会が開催されました。私も様子を見に行きましたが、馴染みすぎていて、留学生の姿を探すことはとても大変でした。毎年感じることなのですが、留学生の学校生活に馴染んでいく適応力の高さ、日本語や日本文化を吸収しようとする情熱、直向きさには驚かされます。

短期留学生の5名は、約1ヶ月間、1年生と同じ授業を受け、遠足などの行事にも参加し、学校での生活をともにしてきました。また、異地区間交流留学生の3名は、今週1週間という短い期間ではありましたが、2年生のクラスに配置され、2年生と学習・生活をともにしてきました。

長短の差こそあれ、生活習慣の違う見知らぬ地で不安と闘いながらも、同世代の仲間と交流を深め得たものは何事にも変えられないものでしょう。本校生徒にとっても、代え難い経験ができたと思っております。

最後になりますが、8名の留学生は地域や生徒のご家庭にホームステイしております。ホストファミリーになられたご家庭のみなさま、大変お世話になりました。今後も、本校の国際交流事業に対するご理解・ご協力をお願いいたします。

(昨日の2年生のお別れ会の様子)

(昨日の1年生のお別れ会の様子)

 

栗原巳侑、作品展

卒業生の栗原巳侑(みう)くんが、昨年の「第13回西会津国際芸術村公募展2018」青少年の部で大賞を受賞しました。栗原くんは、昨年の全国高等学校総合文化祭で、福島県美術部代表として作品を出品した生徒でもありました。

西会津国際芸術村は、廃校となった山あいの木造校舎の特性を生かし、芸術を通した文化交流活動を行っており、芸術家を目指す青少年や美術愛好家から絵画を公募し、作品発表の場を提供しています。青少年の部大賞受賞者には、翌年の東京巡回展での個展開催権を授与されます。つまり、今年、東京巡回展での個展が開催されるのです。

先日、栗原くんが直接来校して、個展「栗原巳侑作品展」の開催を知らせてくれました。個展の開催は次のようになります。

 時期:2019円11月2日(土)~11月9日(土)

 時間:13:00~18:00(火曜日休館 最終日17:00まで)

 場所:「spaceS」(東急大井町線 九品仏駅または尾山台駅下車)

    158-0082 世田谷区等々力5-14-18

    電話 03-3701-1471

 オープニングコンサート:11月2日(土)14:00~

お近くに行く用事がありましたら、是非とも栗原くんの作品をご覧ください。

平和③

朝、衝撃的な映像が目に飛び込んできました。世界遺産である首里城の正殿付近から出火しているという報道でした。正殿、北殿、南殿、書院など6棟の建物が全焼したようです。

首里城は、第二次世界大戦の沖縄戦で焼失し、その後、1989年に正殿の復元作業が始まり、今年1月に一連の復元作業が一区切りをしたところでした。朱の瓦が美しい中国の王宮風の建築に、日本の城郭にみられる唐破風屋根を付けた首里城は、両国の文化を取り入れた琉球文化の象徴でした。戦後の沖縄の復興と首里城の復元を重ね合わせる沖縄の人は多く、経済的な損失だけでなく、沖縄の心の支えを失ったと嘆く人もいるほどです。

沖縄の方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

 また、もう一つ、私にとって衝撃的なニュースが先日29日にありました。

それは、緒方貞子さんが今月の22日に他界したというニュースでした。緒方さんは、76年に日本初の女性国連公使となり、国連人権委員会日本政府代表などを歴任しました。91年には、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップに就任し、特にイラクでクルド人支援に取り組み、家を追われてトルコとの国境周辺にとどまる大勢の人々の支援に尽力しました。これは、UNHCRの支援対象が、それまでの国を逃れた難民から、国家によって生命と安全を保障されない国内避難民への転機となったものでもありました。

今回、「平和とは何か」について、私の考えを書かせていただいています。

緒方さんは、私たちにある視点を与えてくれました。

緒方さんは、国家中心の安全保障に代わる概念として、紛争や貧困など、あらゆる脅威から人々の生存や尊厳を守る「人間の安全保障」の重要性を提起した人もあります。冷戦の時代、国家間のイデオロギー的な対立がある中、国家内の対立・反目は後回しにされてきました。しかし、冷戦後、領土的一体性や国家主権に対する脅威がなくても、人々は民族的、宗教的、社会的集団間の歴史的な対立や反目に起因する国内的暴力に苦しみ、そして安全保障が脅かされているのです。このように、今日、対立する個人・集団またはコミュニティ間の平和的関係を維持・発展させることが求められているのです。

緒方さんのご冥福をお祈りします。

エゴマナーダ

27日(日)、郡山女子大学において、「2019年度 葛尾村特産『えごま料理コンテスト』」が行われました。その『えごま料理コンテスト』で、本校3年生の鈴木慧さんが最優秀賞に輝きました。

郡山女子大学では、一昨年より葛尾村で「えごま」の栽培に取り組んでおり、栄養価の高い優れた食品である「えごま」をたくさんの人に知っていただくために、このコンテストを開催しているそうです。

鈴木さんが考案した料理は、「おら!エゴマナーダ(福島風エンパナーダ)」です。本校には、現在、パラグアイからの留学生ルイスくんが来ています。ルイスくんと一緒に、パラグアイの家庭料理エンパナーダをヒントに考えたものが、今回の作品だそうです。鈴木さんは、ルイスくんと本校生徒が仲良く学校生活を送っているように、パラグアイと福島がコラボした料理ができないかを考え、たどり着いたということでした。

基本は、具材にえごまの葉を加え、彩り・風味・栄養価をパワーアップし、エゴマ豚の肉も使用して味を倍増させ、エンパナーダ風に仕上げます。そして、お好みで、じゅうねん味噌(えごま味噌)をつけて食べれば、10年長生きできる健康食品だそうです。

明日31日(木)の福島民友新聞に記事が掲載予定となっています。ご覧ください。

平和とは②

27日、過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が、米軍の急襲で死亡したとトランプ米大統領が発表しました。トランプ米大統領は「世界はずっと安全な場所になった」とも言い切っていました。

以前、生徒たちと、国際社会研究の授業の中で、「平和とは何か」、「戦争とは何か」について議論したことがあります。その主題も「イスラム国」だったと記憶しています。

少し意地悪だったのかもしれませんが、生徒たちに「戦争とは何か、平和とは何か、自分が考えていることを相手に伝える作業から始めよう」と言ったのを覚えています。少し意地悪と言ったのは、高校生時代までは、まだ自分が使用する言葉について、しっかりと定義しながら話をしたり、書いたりすることはほとんどないと思っているからです。誰でも知っている言葉が、うまく定義できないことは多々あります。だから、最初、生徒たちは、「戦争とは戦うこと」というくらいで、「平和とは戦争のない状態」と考えているようでした。

平和が「戦争のない状態」とすると、平和とは「戦争がない」だけで、冷戦状態のような常に戦争につながる要素があり、緊張を抱えている状態でも平和ということになってしまします。それが本当の平和といえるのでしょうか。また、「戦争がない」だけで平和と定義するならば、貧困、飢餓、伝染病などが蔓延している社会も平和な状態となっていまいます。それは、絶対に平和ではありません。また、戦争もそうです。「戦う」ことが戦争ならば、普通の巣スポーツも戦争になってしまいます。誰が、どのような状態で、戦っているのかを明白にしていく作業が必要なのです。

結局考え込んでしまう場面が多くなり,議論が進展しづらくなってしまいました。しかし、積極的に会話をすることが、アクティブ・ラーニングだとは思っていません。今までの「常識」を破るには、時間が必要なのです。

そのような長い議論の中から、「イスラム国」の持っている特殊性に気付き、テロとの戦いというものが新しいタイプの戦争であることがしだいに分かってきたのです。

週末の生徒の活躍

10月26日(土)、イオン郡山フェスタ店で、東京2020オリンピック・パラリンピックを盛り上げるために「オリンピック・パラリンピック体験!ふくしまフェスティバルin郡山」が開催されました。

店内では、体験ブースや県内のホストタウン市町村の交流国紹介ブースがあり、そのほかにも、オリ・パラグッズがもらえるスタンプラリー、合唱、和太鼓演奏、チアリーディングなどの特設ステージでのイベントもありました。私の出身町村である猪苗代町がガーナのホストタウンになっていることを知り、なるほどと納得しました。野口英世と言えば、やはりガーナです。

その日のフェスティバルの最後に、本校よさこい部「開成舞彩」による「東京五輪音頭」の踊りがありました。校内では、昨年より、外国人留学生をもてなすために、何度か一緒に踊っているのを見かけたことがありました。今回、地域の人たちにも「東京五輪音頭」を知っていただくことができ、オリンピック・パラリンピックを盛り上げるために少しは貢献できたかなと思っています。

また、同日に郡山駅前で行われたガス展では、本校フラ・タヒチアンダンス同好会「ALOHA」が踊りを披露しました。

災害が続き、地域に大きな影を落としています。地域の皆さまが笑顔になるために、自分たちの笑顔を届けています。

(おまけ)

平和とは

今年度の総合的な学習(探究)の時間の学校共通テーマは、『共存 ~作ってきたもの、作っていくもの~』です。私は、勝手に「共存 ~レガシーづくり~」と言っています。

今年度前半は、プラスティック問題から共存を考えてきました。

6月の国際理解講演会では、アクアマリンふくしまの岩田副館長より、現在、海洋生物が人間が身勝手に捨てたプラスティックゴミにより苦しめられている現状についてのお話をお聞きしました。人間の生活を便利にするために作られたモノが、いま、いろいろな動物を苦しめているばかりか、人間の健康そのものへ直接的な影響を与え始めています。「プラスティックが便利なのは丈夫だからだ。プラスティックが恐ろしいのは丈夫だからだ」という言葉が、今でも忘れることができません。合理的、効率的な生き方を求められる今、その考え方をもう一度問い直すことが必要な時代が来ているではないかと感じました。

10月、今年度の後半に入り、課題の対象が「平和」となりました。

11月8日(金)の国際理解講演会では、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館主催被爆体験伝承者等派遣事業による「ヒロシマからの手紙 被爆体験伝承講話」が行われます。

それにともない、本日10月28日(月)より、広島平和資料記念館より借りた「市民が描いた原爆の絵」の展示が始まりました。昼休みの12時45分から13時10分までの25分間のみの展示です。貴重な資料ですので、是非、講演会前に1度、そして、講演会後にもう一度、観ていただきたいと思っています。

本日、早速展示室に訪れた3年生の佐久間愛海さんと松本彩さんは、「想像できないくらいのものだった」「今の日常とあまりにもかけ離れている」と率直な感想を語ってくれました。

「平和」とは何か。「平和」を作るにはどうすればいいのか。

今年度の後半は、この難しい問いに挑戦しましょう。