あさか開成 校長雑感

校長より

総学のテーマ、決定

今年度の総合的な学習(探究)の時間の学校共通テーマは、『共存 ~作ってきたもの、作っていくもの~』となりました。

私自身は「レガシーとの共存」かな?と思っています。

2020東京オリンピック、パラリンピックで、「レガシー」という言葉が、一躍大きくクローズアップされるようになりました。レガシー(legacy)とは、遺産、先人が残したものという意味です。レガシーの言葉自体は、「代々受け継がれた」というポジティブな場合でも、「時代遅れの」というネガティブな場合でも使用されます。オリンピックレガシーは、2002年のソルトレイクシティオリンピックより提唱された概念で、「長期にわたる、特にポジティブな影響」され、オリンピック開催を契機として施設やインフラの整備、スポーツ振興等による生活の利便性が高まりを指しています。私たちの生活の中には、これからも引き継いでいかなくてはならないもの、また、新たな伝統として築き上げていかなくてならないものがあります。

今年は、「レガシー」という考えを少し深めていきましょう。

端午の節句

本日4月25日、1校時目に、今年度パラグアイから来た留学生のルイスくんのウェルカムパーティー、そして端午の節句のお祝いをしました。

ルイスくんも、まだまだ日本語を話すことは難しいようですが、少しずつ聞き取ることができるようになってきたようです。毎年そうですが、あと1ヶ月ほどすれば、日本語も話し出すようになり、本校生徒と見分けがつかなくなるようになってしまうでしょう。先日、放課後、剣道部の練習を見に行ったときには、ルイスくんが胴着を着て、素振り、足運びの練習している風景を目にしました。日本の文化に興味を持ち、積極的に学ぶ姿勢をみて、とてもうれしく感じています。

本日は、日本語の矢内講師より、端午の節句について説明を受け、その後、柏餅を参加者全員で食べ、歓談しました。教室には、武者人形が飾られ、本格的な五月の節句を祝う会となりました。現在、日本の家庭においても、季節の行事を、その由来とともに祝う習慣が廃れ始めてきました。日本の文化を再発見する、良い機会でした。

国際関係の総学、本格始動

本日より、国際関係の総合的な学習(探究)の時間が本格的に始まりました。

1年生は本校演劇部による「SHIROCK」の観劇、2、3年生は国際部より今年度の総合的な学習(探究)の時間について概要が説明されました。

演劇部の「SHIROCK」は、昨年度福島県高等学校演劇コンクールで最優秀賞を獲得した作品で、同東北大会でも優良賞を受賞しました。掻き鳴らされるギター演奏、歌と激しい踊りで始まるオープニングは、これから始まる心の葛藤を表しているかのようでした。

「SHIROCK」は、名前から分かるとおり、シェークスピアの『ヴェニスの商人』を原作とする作品です。原作にはない、その後についても言及しています。ここでは詳細な説明は省きますが、最後は会場からすすり泣く声も聞こえてきました。是非とも生の舞台を見ていただきたいと思っています。7月に公演が決まっているようですので、近くなったらHPで紹介したいと思います。

今回の作品の主題にもなっている偏見や差別ですが、私は、偏見や差別は、普段の生活の中で必然的に遭遇してしまうものだと考えています。だから、差別をしてしまいそうになるとき、他者の立場でものごとを考えることができなくなったときに、是非とも考えて欲しいのです。偏見を持ち、差別をしそうになった自分を否定するだけでは、決して何も生まれることはありません。偏見や差別を手掛かりに、自分を見つめ直し、現在の自分を含めた社会の何を変えれば、豊かな社会につながるかを真剣に考えて欲しいのです。その営みは少しずつで良いので、決してあきらめることなく、継続することが大切だと考えます。本校演劇部は、そのことを目指しているのだと思います。

 

春季東北地区高等学校野球県中支部予選

本日4月24日、運動部の先陣を切り、野球部がヨーク開成山スタジアムで春季東北地区高等学校野球県中支部予選の1回戦に臨みました。

相手は、奇しくも昨年と同じ安積高校でした。昨年の敗戦の記憶を払拭すべく臨んだ試合でしたが、今回も敗退という結果に終わりました。常に何事にも挑戦することを語ってきた私としては、今回の敗戦も「良い経験をした」とプラス思考で受け止め、明日からの敗者復活戦に全力で臨んで欲しいと願っています。敗者復活戦は、明日4月25日10時より、本宮のしらさわ球場で、小野高校・湖南高校の合同チームとなりそうです。

最後になりましたが、お忙しい中、応援に来ていただいた保護者の皆さま、昨年の卒業生に感謝申し上げます。

本校野球部は、他の部活動と比べ、なかなか部員数が増えず、今年も新入生の入部者も5名(内2名はマネージャー)と少ない状態です。私も、以前、ある部活を持っていたとき、部員数が3名の時がありました。部員たちには、「君たちは現在恵まれた環境にはないが、あと10年後、あの先輩たちが部をつないでくれたから、今の部の存在があると言わしめろ」と励ましていたのを覚えています。

頑張れ、あさか開成野球部。

横断幕にあるように、「練習は嘘をつかない 心をひとつに ひたむきに」。

生徒会役員による朝のあいさつ運動

今年度は、学校経営・運営ビジョンを少し見直してみました。

今年度の経営方針では、本校の特色である体験活動、交流活動の諸活動のより一層の活性化をとおして、自ら考え、判断し、行動することを繰り返し、それら諸活動で得た知を社会に還元しようと行動する人間の育成を目指しますこととしました。

そして、努力目標の三つ目、生徒指導に当たる部分を『自主・自律の精神の育成』としました。「自ら考え、判断し、行動する」ためには、自己を律する必要があります。自己を律するためには、内なる自己との対話が不可欠です。そこでは、真の意味での正しさ、楽しさ、豊かさは何かと問わなくてはなりません。そして、その正しさ、楽しさ、豊かさで重要なのは、自分自身がかけがえのない人間であるように、他の人もまた、かけがえのない人間であるという考え方です。人を手段として使おうとすれば、自分も手段として使われてしまいます。人間関係を手段とする考え方は、争いを生むだけです。律するとは、単にルールを守ることではありません。自己の中で、真の正しさを確立し、自分自身を尊重し、周りの人を尊重しながら生きるという「平等のための、共生のためのルール」をつくることを意味していると考えます。

先週より、安齋麗会長をはじめ生徒会の役員が、毎朝、正面玄関前に出て、自主的に朝のあいさつ運動を行っています。あいさつは、人と出会ったときに交わす儀礼的な動作ですが、個人と個人、コミュニティ内の連帯を強める文化的な行為であると思っています。

自主・自律の精神に満ちあふれた生徒会役員の生徒に感謝です。

アースデイ

本日4月22日は、アースデイ(地球の日)です。地球環境について考え、地球のための行動をする日です。

このアースデイは、1970年にアメリカで始まったものです。この機会に、みなさんも地球環境について、何かできることを考えてみましょう。

話は少し変わりますが、さる4月13日(土)、2、3年の生徒が猪苗代湖の清掃活動に参加してきました。

本校の国際教育には、学校共通テーマがあります。「水」に関するものは、2017年の「水と共存」でした。当時の3年生のグループは、自分たちの探究活動を、2016年4月に日本遺産に認定された安積疏水からアプローチしました。安積疏水は、戊辰戦争後間もない、荒廃したこの東北郡山の地に、外国の最新技術を導入し、そして、全国から「人」、「モノ」、「技」を結集し、苦難を乗り越えて完成したものです。この事業の成功は、郡山に農業面の発展だけなく、米や鯉などの食文化の豊さ、さらには水力発電による紡績等の新たな産業の発展の基礎をもたらしました。当時の3年生は、安積疏水を、多様性を尊重し人々と自然と結ぶ共生のシンボルととらえ、その多様性と共生の精神が、このあさか開成高校の「Global Spirits」「Creative Spirits」「Human Spirits」の校訓に受け継がれていると強調しました。

その後、その後輩たちにより猪苗代湖の清掃活動が始まりました。当初は、数名だった参加者も、今年は40名になったようです。自分たちにできることを探し行動する。とても大事なことだと思います。

ちなみに、私は、本日はスマートフォン禁止デイにし、校内の自然探索を楽しみました。

部活動も本格始動

今週初めより、部活動も本格的に始動しました。今週は、運動部を中心に活動の様子を見学しました。

新入生を迎え、各部とも、3月末に回ったときよりも活気があるように感じます。3年生は最上学年としての、2年生は後輩を持ったことによる先輩としての、それぞれの自覚が生まれてきたあらわれではないかと感じています。

今回はスポーツについて話を進めたいと思います。

まず、昨年度に引き続き今年度も、本校は「オリンピック・パラリンピック教育推進校」に選定されました。2020オリンピック・パラリンピックの開催が500日をきり、来月からはチケットの申し込みを始まります。オリンピック・パラリンピック開催へ向けて、本校独自の視点で、その機運を高めていきたいと思っています。

では、スポーツとは一体どのようなものでしょうか。

やって楽しむもの、見て楽しむものと、いろいろな考え方があります。私は「育てるもの」だと思っています。人の心を育て、身体を育て、夢を育てていくもの、それがスポーツだと感じています。また、スポーツをする人、見る人、協力する人によって、そのスポーツは育てられていくのです。昨年度、パラリンピック種目のボッチャの協会指導部長である村上氏の講演を聴き、スポーツボランティア・リーダーの資格を取得した生徒が2名います。大変うれしく思っております。

9日にも書きましたが、部活動は、座学では身に付きにくい、心の鍛錬をする場でもあります。仲間と協力し、一つの目標に向かって、行動することも、人間として磨くことが必要な資質の一つです。そして、その部活動を育てていくのも部員です。部活をとおして、自分自身を鍛錬し、部活動そのものも活性化していくのです。

頑張れ、あさか開成生。

進路実現に向けて

本日は、全学年とも進路関係の集会が開催されました。

1学年は、6校時目は情報モラルの講話、7校時目に「ちょっとしたことで人生に大きな差がつく!幸せを呼び込む ポジティブコミュニケーション」の演題でコーチング研修会社ドリームフィールドの阿部侑生氏による進路講演会が開催されました。講演会では、言葉や考え方をポジティブになるだけで身体に、そして周りにも大きな変化が起き、幸せが連鎖していくという内容が話されました。是非とも、新入生にはポジティブシンキングを身につけ、今後の高校生活を有意義なものとして欲しいと願います。

2学年は、6・7校時をとおして、「オープンキャンパスに参加しよう」の演題でリクルートの金澤脩平氏による進路講演会が開催されました。次年度は、2020オリンピック、パラリンピックがちょうど夏休みに当たることから、大学、短大等でオープンキャンパスが開催しづらく、受験前に必要な情報を集めるためには、今年度中にある程度情報収集することが望まれます。講演会では、自分の「軸」づくりについて話がありました。2年生には、早期に自分自身の「軸」を見つけ、進路選択を進めて欲しいと思います。

3学年は、7校時目、最終学年として進路意識を一気に高めるために、進路実現に向けての学年集会が開催されました。学年主任からは、学年全体「チーム開成」で1年間を頑張りたいとの話があり、その後、学年進路係より1年間の進路の流れの説明を受けました。本格的な進路活動が始まります。3年生には、自己の進路実現に向け、「チーム開成」のもと一致団結し、最大限の努力をして欲しいと思います。

ご家庭においても、生徒より本日の進路講演会の内容をお聞きいただき、進路についてお話をしていただければと思います。

頑張れ、あさか開成生。We can do it.

オーストラリア研修オリエンテーション開催

昨日4月17日、放課後、保護者を交えてオーストラリア研修のオリエンテーションが開催されました。

引率者が紹介された後、学校、業者より研修内容全般、提出書類、研修費用、パスポートの取得などについて、詳細な説明が行われました。今年度、オーストラリア研修に申し込んだのは1年生22名、2年生2名の計24名で、7月12日(金)から7月25日(木)の12泊14日(機内泊2日)の研修に臨むことになりました。ホストスクールは、ブリスベン郊外にあるシェルドンカレッジ(Sheldon College)で、生徒たちは学校周辺の家庭に12日間ホームステイすることになります。

オーストラリア研修は、生徒にとって不安や困難と闘いながらも、自己の可能性、自己と世界の関わりを考えることができる貴重な体験だと考えています。生徒が、半年後、大きな成長を遂げていることを期待します。

ノートルダム寺院で大規模な火災

昨日、衝撃的なニュースが入ってきました。ノートルダム寺院で大規大規模な火災が発生し、中央部分の屋根が崩壊、高さ約90メートルの尖塔が焼失したということでした。

ノートルダム寺院は、ヨーロッパのゴシック建築を代表する建物で、フランスのパリ、シテ島にあるローマ=カトリック教会の寺院で、1991年にその周辺地域とともに世界文化遺産に登録されています。

ノートルダムとは、フランス語で「私達の貴婦人」という意味で、聖母マリアを指しています。つまり、聖母マリアに捧げられた教会なのです。実は、ノートルダム寺院は世界各地にあり、フランス国内でもランス、アミアン、ルーアンストラスブール等の都市にもあり、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ等のフランス語圏にもその名を冠した寺院が存在しています。

パリのノートルダム寺院は、12世紀建築されたものです。ゴシックという呼称は、もともとは蔑称で、ルネサンス期の芸術家たちは中世の様式を粗野で野蛮なものと考えていたようです。しかし、ゴシック建築は合理的な建築物で、尖塔に見られる高さ、柱の細さ、そして壁一面に広がる薔薇窓など、その時代の最高の美を追究したものです。

パリ市民の心のよりどころであるパリのノートルダム寺院も、フランス革命のときは、自由思想、反キリスト教を掲げる市民たちによって破壊され廃墟と化しました。寺院の復興運動を助けたのが、ヴィクトル=ユーゴーでした。ユーゴーは『ノートルダム・ド・パリ』を出版し、市民に寺院の復興を呼びかけたのです。皆さんも知っていると思いますが、ディズニーアニメの『ノートルダムの鐘』の原作となるのが、この『ノートルダム・ド・パリ』です。ディズニーアニメの中でも、ストーリー、音楽とも1、2位を争うものだと思っています。見ていない方は、是非、この10連休で見てください。

このノートルダム寺院の火災をみたパリ市民は、聖歌「アヴェ=マリア」を歌い祈りを捧げ続けたと聞き、東日本大震災の時に、パリ市民がこの寺院より犠牲者を悼む祈りが捧げたことを思い出しました。今度は、東日本大震災の時に寄り添っていただいたパリ市民のために祈りを捧げたいと思います。